高齢者における牽引力錯覚の感受性に関する研究成果がIEEE Transactions on Hapticsに採択されました!
- ipucnslab
- 4月14日
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このたび、茨城県立医療大学と国立研究開発法人産業技術総合研究所(AIST)との共同研究による成果が、学術誌 IEEE Transactions on Haptics に採択されました。本研究は、「牽引力錯覚を利用したリハビリテーション手法の開発に関する研究」の一環として実施されたものです。
▶ 研究の概要
本研究では、指先に非対称振動を与えることで生じる「牽引力錯覚(illusory pulling sensation)」の感受性が、加齢によってどのように変化するかを検討しました。若年群(20〜28歳)および高齢群(63〜79歳)の合計40名を対象に、振動検出閾値および錯覚の方向識別正答率を測定し、年齢および性別による差異を分析しました。
主な知見は以下の通りです:
錯覚の方向識別能力は、若年者および高齢男性では高く維持されていた一方、高齢女性では正答率が有意に低下していました。
振動閾値と錯覚の感受性の間に明確な相関は認められず、錯覚生成には加齢による機械受容器の機能低下以外の要因が関与している可能性が示唆されました。
これらの結果は、錯覚提示のメカニズムの解明に資するだけでなく、今後のリハビリテーション機器開発や感覚提示技術の応用において、高齢者への適応設計の重要性を示すものです。
▶ 論文情報
Tanabe T, Yamamoto S, Yamada T, Ishii D, Kohno Y.
Age-Related Impact in Illusory Torque Cues Induced by Asymmetric Vibrations.
IEEE Trans Haptics. 2025 Apr 7.
doi: 10.1109/TOH.2025.3557901.
PMID: 40193257.
【全文】
本論文はオープンアクセスとなっておりますので、是非ご一読ください。
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