日常生活において、立ち上がる、歩行する等の動作は、単一のものとして行われることは少なく、ある目的を持ち一連の流れ(系列動作)として行われます。このような動作を行うためには、認知や判断を司る前頭前野の働きが重要であると報告されています。認知や判断を要する系列動作を効率的に学習する手段があれば、リハビリテーションやスポーツ等の場面で有用となる可能性がありますが、そのような方法は明らかになっていませんでした。そこで茨城県立医療大学理学療法学科 山本哲 助教,茨城県立医療大学医科学センター 河野豊教授らのグループは、健常者40名を対象とし、系列動作課題における左背外側前頭前野への経頭蓋直流電気刺激(tDCS)の効果を検証しました。その結果、実際に刺激を行ったグループのみ、認知判断を要する系列動作の運動経路の長さ(軌跡長)が有意に短くなり、動作を効率的に行うことができるようになることがわかりました。この結果から、運動を行う際に関連する認知機能に対し、tDCSが良い影響を与えることが明らかになりました。このような刺激について今後研究を進めて応用方法を検討することで、リハビリテーション患者の遂行機能の向上に活用できる可能性があります。
本論文はオープンアクセスとなっておりますので、是非ご一読ください。
【掲載論文】
Front. Hum. Neurosci. 16:890963.
doi: 10.3389/fnhum.2022.890963
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