両手運動時の機能的脳ネットワークに関する研究成果を報告 Neurology and Clinical Neuroscience | オンライン公開:2026年6月23日
- 6月26日
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両手を協調して動かす能力は、食事や更衣、道具の使用など、日常生活のさまざまな動作に欠かせません。一方で、脳卒中などの中枢神経疾患では、運動麻痺により両手を協調して動かすことが難しくなることがあります。こうした運動を支える脳の仕組みを明らかにすることは、リハビリテーションの評価や治療法の発展につながる重要な課題です。
このたび、野口光 氏(指導教員:河野豊 教授)らによる研究成果が、学術誌 Neurology and Clinical Neuroscience にオンライン公開されました。
本研究では、健常成人10名を対象に、左右の手を同時に動かす「同位相運動」と、左右の手を交互に動かす「逆位相運動」を行っている際の脳波(EEG)を測定しました。さらに、脳の各領域どうしのつながりをネットワークとして捉える「グラフ理論解析」を用いて、両手運動中の機能的脳ネットワークの特徴を検討しました。
研究の概要
参加者は、両手を同時に握る同位相運動と、左右交互に握る逆位相運動を行いました。取得した脳波データから、アルファ帯域およびベータ帯域の脳活動に着目し、ネットワークの結合の多さや局所的なまとまり、情報伝達上の中心性などを表す指標を算出しました。
その結果、統計学的に有意な差は認められなかったものの、効果量に基づく解析では、同位相運動と逆位相運動で異なる脳ネットワークの特徴が示されました。特に逆位相運動では、左前頭領域のアルファ帯域、および中心領域のベータ帯域において、局所的な機能的結合が高まる傾向が認められました。
本研究の意義
逆位相運動は、左右の手を交互に動かす必要があり、同位相運動よりも複雑な両手協調を要する運動です。本研究の結果は、こうした複雑な両手運動の実行に、中心領域におけるベータ帯域の局所的な脳内ネットワークが関与している可能性を示すものです。
今後、対象者数や年齢層を広げて検討を進めることで、脳卒中後の運動麻痺などに対するリハビリテーション評価・介入法の開発に役立つ基礎的知見となることが期待されます。
論文情報
論文タイトル:An EEG-Based Graph Theory Study of Functional Brain Networks During In-Phase and Anti-Phase Bimanual Hand Movements
著者:Akira Noguchi, Daisuke Ishii, Satoshi Yamamoto, Kiyoshige Ishibashi, Kenya Tanamachi, Yutaka Kohno
掲載誌:Neurology and Clinical Neuroscience
オンライン公開:2026年6月23日
DOI:10.1002/ncn3.70130
ぜひご一読ください。



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