装具を使用した歩行練習など,従来のリハビリテーションによって脳卒中後の歩行障害が改善することが知られていますが,その効果は限定的であるのが実情です.近年,この問題に対し,ロボット機器を用いた歩行練習により更なる歩行障害の改善を目指す取り組みが行われてきています.今回,茨城県立医療大学付属病院リハビリテーション部 石橋清成氏,茨城県立医療大学医科学センター 河野豊教授らのグループは,脳卒中発症後20週間のリハビリテーションによって歩行能力がプラトーに達した脳卒中症例に対し,歩行アシストロボットを用いた歩行練習を4週間実施しました.その結果,歩幅の対称性や歩行耐久性が改善し,歩行中の麻痺側下肢の筋活動パターンも正常歩行時の筋活動パターンに近づく変化がみられました.この結果は,ロボット機器を用いた歩行練習が,麻痺側下肢の筋活動パターンを変化させながら,従来のリハビリテーションでプラトーに達した歩行能力を向上させる可能性を示唆しています.今後は症例数を増やし,更なる検討を進めるとともに,その背景にあるメカニズムについても検証していく予定です.本論文はオープンアクセスとなっておりますので,是非ご一読ください.
【掲載論文】
Ishibashi K, Yoshikawa K, Koseki K, Aoyama T, Ishii D, Yamamoto S, Matsuda T, Tomita K, Mutsuzaki H, Kohno Y.
問い合わせ先
茨城県立医療大学付属病院 リハビリテーション部 理学療法科
石橋清成(イシバシ キヨシゲ)
TEL:029-888-9201
E-Mail:ishibashik.jpn@gmail.com
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